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歯車試験機(歯車測定機)とは? 高精度歯車の測定に歯車試験機が必要な3つの理由

高精度・高品質のギヤを測定・検査する際は、三次元測定機や3Dスキャナの他に、専用の測定機が必要となります。それが、歯車試験機(歯車測定機)です。

本記事では、板鍛造・プレス加工のプロフェッショナルが、歯車試験機について詳しく解説いたします。

<目次>

  • 歯車試験機(歯車測定機)とは?
  • 歯車試験機で測定可能な歯車項目とは?
  • 歯車試験機では測定できない項目とは?
  • 当社が高精度歯車の測定に歯車試験機を使用している3つの理由
  • 歯車試験機を用いて測定を行った板鍛造・プレス加工品のご紹介
  • 高精度歯車の板鍛造・プレス加工なら、池田製作所にお任せください

歯車試験機(歯車測定機)とは?

まず、歯車試験機がどういった測定機なのかについて詳しくご説明します。

歯車試験機(英:Gear Testing Machine)は、高精度が求められる歯車(ギヤ)の精度測定・評価に使用される専用測定機です。歯車測定機と呼称しているメーカーもあります。

通常の三次元測定機と同様に、歯車の歯面に円錐型や球型の専用接触測定子(スタイラス)をなぞらせることによって、歯形形状誤差、歯すじ形状誤差、有効径、圧力角、隣接ピッチ など歯車の各種精度の測定を行います。

専用ソフトを用いることで、測定データを検査成績書という形で出力することも可能です。

歯車試験機で測定可能な歯車項目とは?

歯車試験機が測定・評価できる精度は以下の通りです。

精度詳細
歯厚(弦歯厚)歯厚(弦歯厚)は、ピッチ円上の歯の厚さを指します。歯厚ノギスや歯厚マイクロメーターで測定することもありますが、歯車試験機で測定する場合に比べ精度は落ちます。
歯形歯車の歯形には、インボリュート歯形とサイクロイド歯形という2つがありますが、形状が単純で加工性・成形性が高い、かつ低コストという理由から、前者が大半を占めます。
歯すじ歯すじとは、歯面に対しアキシャル方向(軸方向)の寸法のことを指します。
歯たけ歯たけとは、歯面に対しラジアル方向(半径方向)の、すなわち歯底から歯先までの寸法のことを指します。
ピッチ(隣接ピッチ)・モジュールピッチ(隣接ピッチ)とは、隣り合う歯と歯の間隔(距離)のことです。モジュールは、ピッチを円周率で割った値、またはピッチ円の直径を歯数で割った値で、歯の大きさを表す指標です。歯車どうしを噛み合わせるためには、モジュールが等しい必要があるため、歯車選定の際には注意が必要です。 モジュールの値が同じであれば、異なる歯数の歯車どうしであっても正確に噛み合わせることができます。
歯溝歯溝とは、文字通り隣接する歯と歯の間の隙間のことを指します。歯車試験機では、隣り合う歯の側面に測定子を接触させることで、ラジアル方向の差(歯溝の振れという)を測定します。
真円度歯車試験機では、歯車の真円度も測定可能です。歯車が相手歯車と上手く噛み合いスムーズに回転するためには、真円度が非常に重要になります。
有効径有効径は、歯溝の幅が歯の幅と等しくなるような仮想的な円筒または円錐の直径のことを指します。ねじの有効径が有名なので、ねじで説明すると、おねじとめねじの有効径の差が小さければ小さいほど良好な嵌め合いになります。
圧力角圧力角とは、基準線の法線に対するピッチ円上の歯の角度のことです。20度が一般的ですが、14.5度、17.5度など特殊な圧力角の歯車もあります。

歯車試験機では測定できない項目とは?

ここまで、歯車試験機で測定できる歯車の精度についてご紹介しました。しかし実は、高精度の歯車を納品するうえで、歯車試験機ではできない検査・試験を行う必要があります。
それは、歯当たり検査と噛み合い試験です。

歯当たり検査

歯当たり検査とは、歯車にコーティングを施した後に別の歯車と噛み合わせて回転させることで、コーティングの剥がれ具合を確認して噛み合わせの良否を判定する検査のことです。歯車試験機が、測定物を測定・評価する測定機であるのに対し、歯当たり試験機は、相手歯車をセットしたうえで噛み合わせて回転させる設備になります。

噛み合い試験

噛み合い試験とは、相手物マスターギヤと製造した歯車の噛み合い精度を、振れ幅として測定する設備になります。この振れ幅が小さいほど、噛み合いがよいということになります。前述の歯当たり試験機と同様に、2つの歯車を噛み合わせる構造になっているため、やはりこちらも歯車試験機では代替できません。また、噛み合い試験機については、マスターギヤを使用することから、マスターギヤの管理、そして塵・埃などの微細な異物除去をしっかりと行う必要があります。

当社が高精度歯車の測定に歯車試験機を使用している3つの理由

板鍛造・プレス加工技術 .comでは、プレス加工で製造した高精度歯車部品の測定・評価において、東京テクニカル製の歯車試験機TTi-120E(最小測定幅0.1㎛)を使用しています。当社が歯車試験機を使用している理由は、3つあります。

理由①:歯車の規格で定められている測定方法に従う必要がある

歯車のJIS規格に定められた測定方法・評価方法を実行するための測定機であるため、特に高精度の歯車の測定を行う場合は、歯車試験機で測定・評価する必要があります。

理由②:通常の画像寸法測定機では測定できない

平歯車(歯すじが直線で軸に平行な円筒歯車)であれば、歯車試験機と同等の測定・評価が画像寸法測定機で可能です。しかし、ヘリカルギヤ(はすば歯車)やウォームギヤ、スパイラルギヤのようにやや複雑な形状の歯車については、画像寸法測定機で測定するのはかなり難しいです。

理由③:スキャナ型測定機でも測定はできるが、かなり手間がかかる

スキャナ型測定機を用いた点群データによる測定であれば、歯車試験機と同程度の測定・評価ができる場合があります。ただし、計算式や測定プログラムを用意する必要がありますので、かなり手間がかかります。したがって、歯車を測定したいのであれば、歯車専用の測定機である歯車試験機を使用するのがベストであると言えます。

歯車試験機を用いて測定を行った板鍛造・プレス加工品のご紹介

当社が過去に製造したプレス加工品をご紹介いたします。

SPHC製 ギヤ

こちらはSPHC製ギヤです。

UL-6000(6000KN)を使用した板鍛造加工のため、偏心荷重にも対応可能です。またプレス加工機の剛性も優れており、高い精度を確保して生産しております。

>>詳細はこちら

高精度歯車の板鍛造・プレス加工なら、池田製作所にお任せください

「板鍛造・プレス加工技術.com」を運営する株式会社池田製作所は、金型設計から各種プレス加工、
カシメ、溶接、カチオン電着塗装、高精度検査まで、すべて社内で一貫製造する創業75年の板鍛造・
プレス加工のプロフェッショナルです。
100台以上のプレス加工機に裏打ちされた設備力を背景に、板鍛造・プレス加工の試作から10万個/月
の量産までをワンストップで対応いたします。また、長年培ってきた加工ノウハウと実績にもとづく
図面段階からの設計提案も得意としており、品質向上やリードタイム短縮、コストダウンに関する各
種VA/VE提案を積極的に行っております。
高精度歯車の板鍛造やプレス加工のことなら、当社にお任せください。

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