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ラインペーサー(ロボットライン)の特徴と他のプレス加工との違い

搬送装置・搬送ロボットとプレス加工機を組み合わせたラインペーサー(ロボットプレスライン)をご存じでしょうか?プレス加工機というと、トランスファーや順送、単発などがあり、「何が違うの?」というご質問をよく頂きます。

本記事では、プレス加工のプロフェッショナルが、ラインペーサーの特徴やトランスファー、順送、単発プレスとの違いについて詳しく解説いたします。

<目次>

  • ラインペーサーの1分解説動画
  • ラインペーサーとは?
  • ラインペーサーとトランスファープレスの違い
  • ラインペーサーと順送プレス・単発プレスの違い
  • 池田製作所のラインペーサーの特徴
  • 池田製作所の一貫製造体制
  • 池田製作所のラインペーサーによる加工事例
  • ラインペーサーに関するよくある質問

ラインペーサーの1分解説動画

まずは、ラインペーサーが稼働している様子を動画でご覧ください。

ラインペーサーとは?

ラインペーサー(ロボットライン)の特徴と他のプレス加工との違い|板鍛造・プレス加工技術.com

ラインペーサー(英:Line Pacer)とは、レベラー・フィーダーおよび搬送装置・搬送ロボットを用いて材料およびワークを効率的に搬送する仕組みが備わったプレス加工機ラインのことです。ロボットライン(英:Robot Line)と呼ばれることもあります。

ラインペーサーの詳しい特徴について、他のプレス加工機と比較しながらご説明します。

ラインペーサーとトランスファープレスの違い

ラインペーサーとよく比較されるプレス加工機として、トランスファープレス(TRF)があります。

トランスファープレスとは、各工程を担う独立した複数の金型に対し、レベラー・フィーダーでコイル材を自動的に送ることで加工を行うプレス加工機です。一台のプレス加工機に複数の金型をセットする点が特徴です。

ラインペーサーとトランスファープレスの違いは、①一台のプレス加工機の工程数・金型数と②ワークの搬送機構という2点です。

前者は一台のプレス加工機に単工程を担う一つの金型だけをセットしますが、後者は一台に単工程を担う金型を複数セットします。

また、ラインペーサーの搬送機構は複雑であるのに対し、トランスファーは比較的単純です。したがって、トランスファーに対するラインペーサーの優位性は、特殊な搬送機構により複雑形状部品のプレス加工が得意である点だと言えます。

ラインペーサーと順送プレス・単発プレスの違い

ラインペーサー(ロボットライン)の特徴と他のプレス加工との違い|板鍛造・プレス加工技術.com

順送プレス(プログレ)とは、複数の金型が一体となった複雑な金型をセットし材料を送ることにより、基本的には一台で成形が完了する高効率のプレス加工機です。

金型が複雑になる分、金型製作コスト及び製作期間が膨らむ傾向にありますが、搬送機構を必要とせず、生産性が非常に高いため数十万~数百万の量産に向いています。

単発プレスとは、一台に単工程を担う一つの金型をセットするプレス加工機です。単純形状部品の少量生産、特に大型部品のプレス加工に向いています。なお、単発プレスを並べたラインをタンデムラインと呼びます。

池田製作所のラインペーサーの特徴

「板鍛造・プレス加工技術 .com」を運営する株式会社池田製作所は、ラインペーサー、順送、トランスファー、単発、トライプレスで構成される計100台以上のプレス加工機を保有しております。

中でも、ラインペーサーは当社の最大の強みです。

①最大10台編成のラインペーサーが計7ライン稼働

当社の工場では、計7ラインのラインペーサ―が稼働しています。

10台編成ラインも2ライン保有していることから、工程が多くなる複雑形状部品や特殊な部品の量産も問題無く可能です。トランスファーよりも製造できる部品の幅が広く、且つ順送プレスよりも融通が利きます。

また、一ラインに様々なトン数のRYプレスを使用しており、負荷が欲しい工程に加工能力が高いRYプレスを使うことができます。

ラインペーサー編成加工能力ライン合計
RY-17台編成150~630t2,180t
RY-37台編成150~630t2,360t
RY-54台編成110~400t860t
RY-69台編成150~630t2,180t
RY-710台編成110~630t2,540t
RY-910台編成200~250t2,250t
RY-106台編成200t1,200t
<当社のラインペーサー>

②独自の搬送装置・ロボットで「L字ライン」「3次元搬送」を実現

当社のラインペーサーによるプレス量産を支えるのが、長年にわたるプレス加工の経験で培ってきた、搬送装置・搬送ロボットの設計・製作技術です。

特筆すべき点は、「L字ライン」と「3次元搬送」です。

通常のプレスラインですと一直線にラインが構築されますが、ラインを構成するプレス加工機の台数は工場の長さに制約を受けます。

そこで当社で開発したのが、ラインを途中で90°にカーブさせる「L字ライン」です。L字ラインの実現により、工場面積に縛られることなく最適な多列ラインを構築することができます。

また、水平搬送だけではなく搬送中の製品の変位や方向転換、反転、特殊な取り出しも可能です。
この技術を、当社では「3次元搬送」と呼んでいます。

また、ラインペーサーを他のトランスファープレスや単発プレスと連結させることもできます。

これらの搬送技術は、創業70年以上の歴史と年間1,000点以上のプレス加工の経験で培ったコア技術であり、他社には真似できない当社の強みです。

池田製作所の一貫製造体制

池田製作所では、金型設計から各種プレス加工、カシメ、溶接、カチオン塗装、高精度検査まで、すべて社内で一貫製造できる生産体制を構築しております。

そのため、試作、金型・搬送治具・溶接治具の設計・製作、溶接、加工、検査など、様々な分野の技術を自社で揃えています。年間5,000万個の部品を生産する中で、それぞれの領域に関する技術・ノウハウを自社内で蓄積しており、技術力の向上に活かしております。

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①ポンプインペラドライブ用 プレート

このプレートは、エンジンからミッションにトルクを伝える働きをする部品です。製品の振れ寸法や平面度の要求事項が高い一方で、ハイテン材を使用しているため、スプリングバックや材料の異方性を考慮したプレス加工の工程レイアウトを検討する必要がありました。

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②トランスミッション用 プレート

こちらはCVTエンジン用のプレート部品です。

プレス加工後にゴム成形を行うので、ゴム成形時の技術対策も行っております。ハイテン材特有のスプリングバックと異方性を考慮した工程検討を実施しています。

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③シート用ブラケット

こちらは、自動車のシート用ブラケットです。

製品サイズが大きいため加工可能なプレス加工機(ラインペーサー等)が限られます。プレス工程はラインペーサーで完結させたのち、子部品を溶接して完成となります。

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